朝、キスして。

門の内と外では段差があって、いつもは上にある瞬の顔が今は同じ高さにある。


近くで重なる視線。

少しだけ瞬の目が引き締まった。



「俺以外の男に告られてんなよ」



その口から出てきたのは、凶暴な嫉妬。


「さっきの俺、だいぶ大人の対応したけどさ、考えてみればよく耐えたなと思うよ」

「大人の対応って『好きになっちゃったもんは仕方ない』ってやつ?」

「そう。内心すげーイライラしてたからな」

「いやいや。あれはわたし悪くなくない?不可抗力じゃん」

「じゃあさ、逆の立場だったらどうよ。俺が女子に告られたらどう思う?これでも俺、一応モテるよ?」

「それ自分で言う?」

「冗談だよ!マジで返されると恥ずかしいからやめて」


わかってるよ、瞬がモテること。

だから常に不安がつきまとうんじゃん。


私だってやっぱり嫌だと思うよ。

想像しただけでもムカムカする。

自分ではどうしようもないことだから余計にそう。

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