朝、キスして。

「足りないって……ちゃんと好きだよ!?」

「わかってるよ。でも足りない」

「どうしろって?」

「うーん……行動で示すとか?」


告白されるなって言われるより、こっちの方がよっぽどわがままだと思うんだけど。


行動でって言われてもなー。

毎朝起こしに行ってるし、休みの日は瞬のために空けてるし……そのほかってなると。


「じゃあ、お弁当でも作ろっか!」

「それもいいけど、もっと」

「もっと!?」


えー!?どうしよう……?


瞬のためにできること……。

何かないかと真剣に考える私の目に、ふと口元に笑みを作る瞬が映った。


それは、微笑ましいものを見つめる笑みなんかではなくて、何かを企んでいるような笑みだった──と気づいたのは、事が起こったあと。


伸びてきた手が、逃げないように私の後頭部を支えて……そして。


門の外から瞬が身を乗り出した──次の瞬間にはもう、生暖かい空気を一瞬にして忘れさせる熱が唇に触れていた。

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