朝、キスして。
あまりに唐突なそれは、考え事をしていた私の思考を停止させた。
しかも、静寂の夜。
まるで時が止まったみたい。
遠くのほうで聞こえるバイクの走行音が消えるまでの間、私はその熱にすべてを奪われた。
物足りない。そんな感情を残して離れた唇。
ゆっくりと開いて──
「毎朝、こうやって起こして」
意地悪に楽しそうに、ちょっぴりの照れを含んだ声がお願いする。
「……っ、やだあぁぁーーー!!!」
「なんで!?」
私は思わず顔を覆い隠した。
やだなんて嘘。ただの照れ隠し。
別にいいよ。
瞬にお願いされたらなんだってしちゃう。
でもなんか、悔しいじゃない?
こんな簡単に心を奪われて、ドキドキさせられて……。