朝、キスして。

「そんなに嫌なら無理にとは言わないよ!?」


視線をちらっと上げると、本気で焦る瞬が映った。


意地悪だけど意地悪になりきれない、優しい瞬。

そんなところにもキュンとして。

結局、瞬がすることすべてに心が動くんだ。


「……しなくていいの?」

「してくれるなら嬉しいけど」

「じゃあ、キスで起こしてあげる」


瞬は呆気にとられたみたいに目を開いた。

だけど、すぐに不服そうな表情を作って、私の頬をぷにっと掴む。


「意地悪だね」

「そっちこそ」


瞬と一緒にいると、気持ちの重さなんて気にならない。


何かしてあげたいと奉仕する気持ちは今までと変わらない。

違うのは、同じように瞬も望んでくれること。


気持ちが一方通行じゃないってわかるから、全然気にならない。


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