朝、キスして。

「つーか、風邪引くよな」

「……瞬」

「ん?」


立ち上がった瞬を呼び止める。


「私、瞬に触られるのイヤじゃないよ。全然イヤじゃない」


言わずにはいられなかった。


拒否したみたいで傷つけたかな、とか。

それなら弁明しないと、とか。

そういう思いもあるけど、何より自分の気持ちを知ってもらいたかった。


「え……。誘ってる?」

「違う。そうじゃなくて……イヤじゃないよってことだけ伝えたかったの」

「うん、ありがとう」


ちゃんと伝わったみたいで、瞬は安心したみたいに微笑んだ。


ひとつひとつ、恥ずかしくても言葉にして伝える。

そうして一歩一歩、進んでゆく。


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