朝、キスして。

瞬が出て行こうとしたので、ようやく私も立ち上がれる──と思ったとき。


そういえば、瞬は洗面所にタオルを取りにきたんだよね?


洗面所を出ていこうとする瞬を見ると、水も滴るイイ男ってほどではないけれど、髪や服が濡れている。なのにタオルを持っていない。


ここ瞬の家なのに、なんで私がわがもの顔で洗面所を占領してるのっ!


せめてタオルを……。

と勢いよく立ち上がったのがいけなかった。


「瞬、待っ…………あっ!!」

「あ、そうだ…………っ!!」


バスタオルを踏んづけて、つんのめってしまい。

同じタイミングで、言い残したことがあったのか瞬が振り返って。


私は瞬に頭から突っ込む。


それを瞬が受け止め……ようとしてくれたけど、突然のことで受け止めきれず。尻もちをつくように転んでしまった。


ひらひらとバスタオルが舞い落ちる。


……しばしの思考停止。

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