朝、キスして。

友だちの理想は、言いにくいことも言える、そんな関係。


例えば、いま校舎から出てきた3人組の女の子。

今はどんな話も打ち明けられる仲だったとして、でもきっと、それまでに言葉を飲み込んだり言えなくて悩んだり……そんな道を通ってきている。


私と優雨ちゃんは今、まさにその状態なんじゃないかな。


「優雨ちゃんはもしかしたら、瞬のことが好きなのかもしれない」


結局、どうやって話を切り出せばいいか答えが見つからなくて、優雨ちゃんに聞きたいことを練習のつもりで口にした。


「あっ、かもしれないっていうのは、本人から直接聞いたわけじゃないからで……」

「なんでそう思うの?」

「……見ちゃったから」

「なにを?」

「優雨ちゃんが、瞬に……」


放課後に見た出来事をすべてハルくんに話した。


言葉にするだけで心がズキズキ痛んだけれど、言葉にすることで気持ちの整理もついた。

何を思ったのか、どうしてそう思ったのか、ハルくんが私の気持ちを大切にするみたいに尋ねてくれたから。

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