朝、キスして。
EP.13*悩みの元凶
「もうすぐ夏休みだぜ?どっか遊びにいこうよ、瞬!」
休み時間。
吉田くんの大きな声が聞こえてきた。
教室はそれなりに騒がしいのに、無駄に声がでかい吉田くんのせいで嫌でも会話が耳に入ってくる。
「どこに?」
「うーん……あっ、祭りは?夏休み入ってすぐ、うちの近くで夏祭りがあるんだよ。けっこう大きくてさ」
「へぇ」
「そういや優雨って、俺ん家の近くに住んでるんだよな?行ったことある?」
ちらっと振り向くと、吉田くんが優雨ちゃんに話しかけていた。
「あるよ。毎年妹と行ってる」
「マジか!今年も行く予定?」
「たぶん」
「じゃあもしかしたら会えるかもな」
それ以上は聞いていたくなくて、私は逃げるように教室を出た。