朝、キスして。
それでも私は見苦しいとは思わない。
むしろまっすぐだなって思う。
邪魔かもしれない。でも、別にあってもいい。
どの感情を大切にするかは、相手と向き合って初めてわかるのかもしれない。
だったら私は──
「取られないよ、大丈夫」
そう言うと、瞬が頭を上げた。
わかってるって納得させるように、無理して微笑みを作っている。
「言葉たりないよね。ごめん」
「信じてるよ、有咲の言葉。ただ……やっぱり全部は話してくれないんだ?」
「あとちょっとだけ待って」
たくさん言葉を飲み込んで、たくさん気持ちを誤魔化してきた。
その上さらに待たせて……事態はもっと最悪に転ぶかもしれない。
「待ってもらったところで全部は話せないかもしれないけど、他に話をしなきゃいけない人がいるの」
もう少しだけ時間がほしい。
誤魔化すのではなく、前に進むための時間にするから。