朝、キスして。

笑みに見合った穏やかな声色。

ゆっくりと紡ぎ出した言葉はしかし、「でも」と否定に続いた。


「これからは最初に瞬に話す。全然説得力ないだろうけど……。そうするように変わっていかなきゃいけないんだと思う」


視線を戻した彼女の笑みには、少し苦さが帯び始めていた。


「それでも話せなかったりすれ違っちゃったりしたら、優雨ちゃんに喝を入れてもらう。だからハルくんとは……」


その先に続く言葉はなんとなく予想できた。


まあ当然だろうな。

気持ちを伝えた時点でもう話し相手にはなれないとわかっていたから、気持ちを伝えるつもりがなかったわけだし。

それでも今まで通り、と望むのは虫がよすぎるって話だ。


俺は切り捨てられる覚悟で言葉の続きを待った。


「今まで悩みを聞いてもらった分、これからはくだらない話ができるような関係になれたらいいなって思う」


だけど届いたのは、予想とは違う提案だった。


俺と有咲がくだらない話……?

まったく想像できない。

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