朝、キスして。

「でもそれは私のエゴだから、無理なら……」

「いや、いいんじゃない？切り捨てられなくてよかった」

「切り捨てないよ。ハルくんと同じクラスになって、話すだけでもすごいことなのに」


「氷王子だからね」と茶化すように言った。

有咲はさらに言葉を繋ぐ。


「それに、瞬も責任感じるだろうし」

「責任？」

「クラスメイトなのに意識して話さないのは、それはそれで気にしちゃうんだよ。わざとらしい、みたいな？」

「なんだそれ。あいつ面倒くさいな」

「面倒くさいよ、すごく面倒くさい。……でも、私も同じ」


有咲は嬉しそうに微笑みをこぼした。


どんなに辛い思いをしても、瞬を好きな気持ちだけは変わらなかった有咲。

俺にも変わらなかったものがある。


話し相手になってあげたい。

傷ついたとき励ませる存在でいたい。


そう思っていたけど、結局、有咲が幸せならそれでいい。


＊ハルSide End＊