朝、キスして。
「えっ!?」
これはもしや……。
「俺がおんぶして帰るよ」
やっぱり!
「いいよ!私、重いもん」
「今さら何言ってんの。ほら早く」
急かされて、渋々瞬の背中に身体を預けると、軽々と持ち上げられた。
「全然軽いじゃん」
その帰り道、どんな話をしたのか正直、憶えていない。
ただドキドキして、胸の鼓動が伝わっちゃわないかヒヤヒヤして。
憶えているのは、
“好きだよ”
って何度も言いそうになって、言えなかったこと。
大切なものを扱うように首に手を回して、体温を感じることしかできなかった。
トゥルルルルルル────。
不意に着信音が耳を貫いて、意識を現実に戻す。