朝、キスして。
心の声が漏れたのかと思った。
でも実際に口にしたのは瞬で、勘違いするくらい以心伝心のタイミングが同じだった。
「私も。……そっち行っていい?」
『うん、待ってる』
地学講義室のドアは開いていて、窓際で外の景色を眺める瞬の後ろ姿が確認できた。
何も言わずに教室に入って……。
2人の距離を半分くらい詰めたところで、気配に気づいたのか瞬が振り向いた。
「やっと来た」
安心したような微笑みを見せる。
その笑顔を見た瞬間、私のなかで張りつめていた緊張とか不安が解けて。
「しゅん、ごめ~~~ん!」
思わず泣き出してしまった。
情けなく、子どものようにしゃくり上げる。
箱いっぱいに溜まっていた水が……溢れ出たなんてものじゃない、ひっくり返したみたいに。
「ど、どうした!?」
急に私が泣き出して慌てる瞬。
私の前まで来たけれど、どうしていいのかわからなくてあたふたしている。