朝、キスして。

翌朝──。


ドアを叩くと、中から「はーい」と返答があった。

驚きのあまり勢いよくドアを開けると、


「おっ、有咲。おはよう」


すでに制服に着がえた瞬が立っていた。


「えー!なんで起きてるの!?」

「失礼だな。俺だってたまには時間より早く起きるよ」

「へぇー……」

「なにその顔。不満なの?」


自力で起きられるのかという驚きと起こしてあげられない寂しさがまざって、不満となって表情に乗ってしまったらしい。


「不満ていうか、けっこう瞬を起こすの好きだったんだけど」

「あ、そうなの?じゃあもう1回寝ようか?」

「いやいやいや……寝なくていいから!」


瞬がベッドに戻ろうとしたので、反射的に引きとめた。


バカなの?

朝からコントやってる暇ないから!

< 335 / 343 >

この作品をシェア

pagetop