朝、キスして。
EP.03*その笑顔が可愛い
雷の日だった。
夕方から強くなった雨が、夜になると雷を伴うようになった。
外で鳴り響く雷撃。
ゴロゴロ、ピッカン、ドッシャーン。
文字にしてみるととても頼りなく見えるかもだけど、本当にこの世の終わりかと思うほどの音と光。
そして、それは突然やって来た。
芯に響く大きな音が一撃。
そのすぐあと……部屋の電気が消えた。
「落ちたね」
冷静に瞬のママが言う。
一方で、暗いのが苦手な私は……。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁあ!」
突然真っ暗になって、阿鼻叫喚。
断末魔のごとく泣いて、震えて、叫びまくり。
「すぐ懐中電灯持ってくるからね」と瞬ママが部屋を出ていったのにも気づかず。
とにかく何が起こったのかわからなくて、パニック。
そんな私を優しく抱きしめてくれたのが、当時10歳の瞬だった。
「大丈夫だよ」って。
「怖くない怖くない」
赤ちゃんをあやすみたいに頭を撫でてくれた。