朝、キスして。
優しくて柔らかい温もり。
傍に瞬がいる。
それだけで、心はいとも簡単に落ち着きを取り戻した。
「ずっと手繋いでてあげるから」
涙は収まらなかったけど、復旧するまで瞬が手を繋いでいてくれたおかげであまり怖さを感じなかった。
なーんてことがあったけど!
……うわぁ…思い出すんじゃなかった。
なかなかにむず痒くなるような思い出だった。
どうして『停電したときずっと泣いてた』話を思い出したかと言いますと……。
肝試しでなんやかんやありまして。瞬と手を繋いだ私。
あれからお風呂に入ったりして時間が経ったけど……。
なぜか手を繋いだときの感触が消えないの!
まだ握りしめられている感覚がある。
そのせいで、昔のことまで呼び起こされてしまった。
「なぁ、瞬見なかった?」
ちょうど瞬のことを考えているときに耳に届いた、“瞬”という単語。
ハッとして、浮遊していた意識を呼び起こす。