朝、キスして。
私が今いるのは、談話室。
消灯時間まで暇だから時間を潰している最中。
談話室にはちらほら生徒の姿があって。
話しかけられたのは、私ではなく、入口付近にいた他クラスの男子だった。
「あいつなら女子に呼び出されてたよ」
「マジかよー。羨ましいな」
「……」
図書室よりうるさくて、教室よりも静かな談話室。
嫌でも会話が耳に入ってしまう。
呼び出し=告白。
今この瞬間、どのくらいの恋する子たちが動いているのか知らないけど。
1泊2日の宿泊研修で勝負をかけるなら今日の夜しかない。
……バッカみたい。
今頃、瞬は女子に告白されてウハウハしてる。
私ばっかり悩んでバカみたい。
きっと、手を繋いだのは瞬にとってみればなんてことない、園児の散歩程度のこと。
「はぐれないように仲良くおてて繋ぎましょうねー」みたいな?
本当……バカみたい。
私は、残った感触をかき消すように握り拳を作って、ラウンジを出た。