朝、キスして。

***


「さっきの話ってあんたのこと?」


ゴールして休憩を挟む間もなく始まったカレー作りは、班ごとに調理、火起こし、炊飯の3つの担当に分かれて行う。


私は、優雨ちゃんとハルくんと調理を担当。

すでに切り終えて、優雨ちゃんがかまどへ持っていってくれたので、私は残って後片づけ。


まな板を洗っていると、後ろの調理台を掃除中のハルくんに話しかけられた。


「さっきの話って?」

「瞬の昔話」


手を止めず聞き返せば、出てきたのは瞬の名前。


その名前にドキッとする。

加えて、瞬の話が私だと速攻でバレたもんだから、心臓バックバク。

ウソ発見器があったら針が振れまくりそう。


「どうしてそう思うの?」

「なんとなく」


ただの勘でそう思うならとんでもない発揮力。


「瞬と私って……そんなに普通のクラスメイトに見えない?」

「そんなにって言われても……。少なくとも俺は、そうは見えなかったけど」

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