朝、キスして。

優雨ちゃんには『喧嘩するほど仲が良い』って言われた。

関わらないように意識していたのが却ってあだになってるみたい。


「幼なじみだよ」


気づけばそう答えていた。


幼なじみには戻れない。

そう思っていても、どういう関係か問われたら幼なじみと答えるのが1番手っ取り早い。


それにしても……

私たちの関係を知られたくないと思っていたのに、まさか自分から打ち明けることになるとは……。


隠し通すのを諦めている自分がいる。


「幼なじみ……。じゃあやっぱり」

「うん。瞬が言ってたクラスの子は私のこと。……言われるまで忘れてたけどね」


そんな話をしていたら、まな板も包丁もピッカピカ。

ハルくんの方も片づけ終わったみたい。


「てことは、昨日の夜の話も……」

「昨日の夜?」

「いやなんでもない。……戻るか」


ハルくんは、自分で呟いた言葉を誤魔化すように切り替えた。


昨日の夜……何か瞬に関わる話をしたかな?

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