朝、キスして。

……あれか!

女子たちが噂していた、肝試しのくじを細工したんじゃないかっていう。

幼なじみなら操作しやすいから本当の話なんだって思われた?


「私は細工してないよ!」


かまどへ向かう途中。

振り向いて、一歩後ろを歩くハルくんにそう言った。


「細工?なんの話?」

「くじ引き。……あれ違った?」


いまいちピンと来ていない様子のハルくん。

どうやら違ったみたい。


じゃあなんだろう?


──と考え事をしていた私が悪かった。


「危ないっ!」


叫びに応じてハッとしたときにはもう、足元に段差が…!

足を取られるみたいに躓いて。


転ぶっ!


咄嗟に目を閉じた私。


このあと、盛大に転倒。痛みと羞恥に蝕まれ、それはそれは悲惨な結末になるだろう。

……という未来予測を立てる。


あぁやだなー……高校生にもなって転ぶとか嫌だなぁ……。

恥ずかしい……。

…………。


……ていうか、痛みが来ないんですけど!

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