朝、キスして。

視界に映ったのは、有咲がハルに後ろから抱き止められている光景。


転びそうになって助けられたんだろう、ということはすぐにわかった。

でも……。


まるで抱きしめられているかのようなその光景に、俺は、自分でもわかるくらい表情を強張らせた。


途端に湧き立つ不快な感情。


離れろ。

って無性に叫びたくなったけど……。


「ハルと有咲だ」

「どういう関係?」


それを見ていたのは俺だけじゃなかった。


思い留まったというよりはハッとした。

助けられただけなのに、嫉妬を露わにするのはおかしいって。


……だけど。


「え、もしかして……」

「キスの相手って……」

「「有咲!?」」


その好き勝手な予測には、声を出さずにはいられなかった。


「は?」


自分史上、もっとも低い声だった。





瞬Side End*EP.05へ続く

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