朝、キスして。

「気にしない方がいいよ」


そんな私の心情を察してか、隣に座る優雨ちゃんが気を逸らす言葉をかけてくれた。


できれば自分の噂は聞きたくない。


“有咲ちゃんってすっごく美人だよね”

みたいな噂なら大歓迎だけど……。


恋愛絡みの噂でいいことなんて1つもない。

「氷王子と噂になれただけでもすごいことだよ」と言われたとしても嬉しくない。

そっとしておいてほしいものだよ。


でも……。


「気にしてないよ」


って笑顔で答えられるのは、優雨ちゃんが変わらずに一緒にいてくれるから。

それだけが救い。


「そう?ならいいけど」


うん、気にしてない。

噂はこれ以上どうしようもないし、向けられる視線がとげとげしくても無視できる。


……ただ。

気になっていることがあるとすれば、何も言ってこない瞬のこと。

何かしら訊いてくると思ったんだけど……。


ちゃんと誤解は解けているのかな?

< 98 / 343 >

この作品をシェア

pagetop