朝、キスして。
「気にしない方がいいよ」
そんな私の心情を察してか、隣に座る優雨ちゃんが気を逸らす言葉をかけてくれた。
できれば自分の噂は聞きたくない。
“有咲ちゃんってすっごく美人だよね”
みたいな噂なら大歓迎だけど……。
恋愛絡みの噂でいいことなんて1つもない。
「氷王子と噂になれただけでもすごいことだよ」と言われたとしても嬉しくない。
そっとしておいてほしいものだよ。
でも……。
「気にしてないよ」
って笑顔で答えられるのは、優雨ちゃんが変わらずに一緒にいてくれるから。
それだけが救い。
「そう?ならいいけど」
うん、気にしてない。
噂はこれ以上どうしようもないし、向けられる視線がとげとげしくても無視できる。
……ただ。
気になっていることがあるとすれば、何も言ってこない瞬のこと。
何かしら訊いてくると思ったんだけど……。
ちゃんと誤解は解けているのかな?