死にたがりな君と僕。
屋上からは、校庭の桜が満開に咲いているのが分かる。



「ねぇ、僕、もう卒業しちゃったよ。君と、一緒に死ねなくなっちゃったよ。」


僕がそう呟く。



「ばかだなぁ。君は、もう死ななくても大丈夫だよ。だって、卒業できたんだから。」


その瞬間、春風が吹いて、

彼女は春風と共に姿を消した。



僕の頬をつたう涙を、温かな春風が拭ってくれたような気がした。
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