愛しの鳥籠〜完結篇〜
鉛(なまり)でもついているんじゃないかと思うほど重い足取りで玄関へと向かう。
どくどくと異常なほど脈が速くなる。
否定したいのに確信めいた真実が今、この眼に映ってしまった。
ーーー鍵が、外されている…。
ラン自ら自分のことを閉じ込めて欲しいと、幾重(いくえ)にも施した鍵達が、全て。
「っっ、」
言い表せない感情が一気に僕を支配した。
あり得なかったのだ。ラン自らこの鍵を開けることなど。あり得ない。
壊したはずなんだ。あの日ここで初めてランを抱いた時から。
抱く度にランの自我を少しずつ壊していったのだから。
僕なしじゃ何も出来ない。僕なしじゃ生きていけない。
そういう女に『造り替えた』はずなんだ。
だから、僕の許可なくひとりで外へ出るなど、あってはならないことなのにっ。
ーーカチャリ。