その騎士は優しい嘘をつく
ハイナーはいつも、部下を庇っていた。
ハイナーはいつも、自分の治療は最後でいいと言っていた。俺は大した怪我ではないから、先に部下たちを治療してやってくれ、と。
見るからに大した怪我であるにも関わらず。あなたの方が酷い怪我ですよ、と何度も言いたくなったけれど、本人が部下を優先させるうちは言わないでおこうと、アンネッテは思っていた。
彼には右目の目頭から右頬にかけて、大きな傷痕がある。もう少し位置がずれていたら、恐らくその右目は失明していただろう。それも部下を庇ってできた傷痕であることを、騎士たちの話を通してアンネッテは知った。
なんて優しい人なんだろう。
それがアンネッテのハイナーに対する第一印象だった。その後、彼に対する第一印象は変わることなく、当分の間、そのハイナーはアンネッテの気になる男性第一位の座に君臨していた。
ハイナーはいつも、自分の治療は最後でいいと言っていた。俺は大した怪我ではないから、先に部下たちを治療してやってくれ、と。
見るからに大した怪我であるにも関わらず。あなたの方が酷い怪我ですよ、と何度も言いたくなったけれど、本人が部下を優先させるうちは言わないでおこうと、アンネッテは思っていた。
彼には右目の目頭から右頬にかけて、大きな傷痕がある。もう少し位置がずれていたら、恐らくその右目は失明していただろう。それも部下を庇ってできた傷痕であることを、騎士たちの話を通してアンネッテは知った。
なんて優しい人なんだろう。
それがアンネッテのハイナーに対する第一印象だった。その後、彼に対する第一印象は変わることなく、当分の間、そのハイナーはアンネッテの気になる男性第一位の座に君臨していた。