その騎士は優しい嘘をつく
ハイナーはあんな見た目をしているけれど、甘いものには目が無いらしい。二人で街に出かけても、お菓子屋さんの目の前ですぐに立ち止まる。
「アン、食べたいだろ?」
と人のせいにしては、よくお菓子を買ったものだ。そして、二人でいただくそのお菓子は格別なものでもあった。
恐らく、ハイナーは一年ほど遠征であの辺境の街へと行ってしまうのだろう、とアンネッテは思っていた。そのような話が騎士団から聞こえてきているからだ。
彼は間違いなくそこに行く。そういう人だから。
そういう立場にある人間だから。
だからきっと、あの日に会う約束をしたに違いない、と。
恐らく、遠征の前の共に過ごす最後の時間となるだろう、と。
アンネッテはそう思っていた。これから一年も会えなくなる。
「アン、食べたいだろ?」
と人のせいにしては、よくお菓子を買ったものだ。そして、二人でいただくそのお菓子は格別なものでもあった。
恐らく、ハイナーは一年ほど遠征であの辺境の街へと行ってしまうのだろう、とアンネッテは思っていた。そのような話が騎士団から聞こえてきているからだ。
彼は間違いなくそこに行く。そういう人だから。
そういう立場にある人間だから。
だからきっと、あの日に会う約束をしたに違いない、と。
恐らく、遠征の前の共に過ごす最後の時間となるだろう、と。
アンネッテはそう思っていた。これから一年も会えなくなる。