その騎士は優しい嘘をつく
「んぎゃ……、きゃっ……」

 アンネッテの腕の中には、赤ん坊がいた。

「ちょうどこの子のおむつを交換していて。もう、本当にタイミングが悪いんだから」

 ハイナーは立ち上がり、彼女の腕の中の赤ん坊に視線を移した。

 ハイナーと同じ金色の髪。ハイナーと同じ碧色の瞳。
 そして、どことなくアンネッテに似ている鼻の形。

「俺の子、だな」

 そう、ハイナーには自信があった。間違いなく自分の子であると。
 その質問に、またアンネッテは夕焼けが空を染めていくように、頬をオレンジ色に染め始めた。そして、ゆっくりと頷く。

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