その騎士は優しい嘘をつく
「あ、うん。その、悪阻がちょっと酷くなってしまって。それで、団長に相談したの。あの子が生まれてからのことを考えたら、思い切って退団してもいいかなと思って。そうしたら、休団扱いにして、また生活が落ち着いたら戻ってこいって言われた」
「できれば、その。俺が遠征に行く前に教えて欲しかった。その、子供を授かったことを」
「あ、うん。そうね。だけど、気付いたのがあなたに最後に会った後で。本当に、それまではなんともなかったのに、急激に体調が悪くなって。それで急いで診てもらったら、そうだってわかったの。ハイナーにも伝えるべきかなっては思ったんだけど、やっぱり遠征の前だから心配をかけたくなかったし、何よりもあなたからあんなことを言われた後だったから……」
「すまなかった」
ハイナーはもう一度頭を下げて謝った。何度謝っても足りないことはわかっている。だけど、ハイナーには謝ることしかできない。
「できれば、その。俺が遠征に行く前に教えて欲しかった。その、子供を授かったことを」
「あ、うん。そうね。だけど、気付いたのがあなたに最後に会った後で。本当に、それまではなんともなかったのに、急激に体調が悪くなって。それで急いで診てもらったら、そうだってわかったの。ハイナーにも伝えるべきかなっては思ったんだけど、やっぱり遠征の前だから心配をかけたくなかったし、何よりもあなたからあんなことを言われた後だったから……」
「すまなかった」
ハイナーはもう一度頭を下げて謝った。何度謝っても足りないことはわかっている。だけど、ハイナーには謝ることしかできない。