陽だまりと、猫と、初恋と。
「ねーデート行こってば、聞いてる?琳ちゃん」
「.......。」
無視だ。話しかけられても無視しないと。
「りーんーちゃーん、琳さーん?」
「(しつこい.......)」
「.......おい、伊澄琳。」
ビクッ
え.......な、に.......今の、
さっきまでのだるそうな声とは程遠い、低くて鋭い声。
「いい加減にしろ」とでも言われているようで、今まで接してきた彼とは違う、まるで“噂通りの柚槻陽”みたいだ。
さすがにこの状況で無視し続けるほどの勇気はなく、恐る恐る顔を後ろへ向けると柚槻はすぐにへらっと表情を変えて、にやにやしながら隣に並んだ。
「デート行こ」
「っだから、なんでそんなデート行きたいわけ.......」
「えー?だって琳ちゃんおもしれぇし」
「はぁ?意味わかんないこと言うなよ」
ほんっとこいつ頑固.......しかもマイペースすぎる。
人が必死に説得させようと色んな言葉を言い放っている間も、「今日暑くね」だの「アイス食お」だのほざいて全く聞いてないし聞く素振りも見せない。
こいつが言い始めたことなのに。
「.......そいえばさぁ、琳ちゃんその話し方直んねーの?」
「あ?.......何が」
「それ、男っぽい喋り方すんの」
「.......ずっとこれで過ごしてるから、むしろこっちの方が普通になって.......ていうか、どうせこれからも男の子の姿でいるんだから別に直らなくてもいい、し.......」
実際、約2年間この状態でいるせいで特に疑問を持つことは無かった。
今言われてやっと気づいたくらいに。
もちろん言っている通りこのまま男装し続けるつもりだし、女の子だった私が消えてもいいって思ってる。
.......だけど、なんとなくだけど、「ほんとにそれでいいのか」なんて、そんないらない考えが私の邪魔をして、話す言葉に詰まった。
「.......ふーん、まぁいいや。で、デートは?」
「お前.......ほんとに友達いんのか?俺だったら絶対嫌いになるぞ、お前みたいな人の話聞かねぇやつ」
「ひでー言い方だなー、じゃあ.......俺がなんか奢るから、学校帰りにちょっとだけ。だめ?」
相変わらず表情を変えないまま「お願い、ほんとちょっとでいいから」と言い続ける柚槻
「.......。」
無視だ。話しかけられても無視しないと。
「りーんーちゃーん、琳さーん?」
「(しつこい.......)」
「.......おい、伊澄琳。」
ビクッ
え.......な、に.......今の、
さっきまでのだるそうな声とは程遠い、低くて鋭い声。
「いい加減にしろ」とでも言われているようで、今まで接してきた彼とは違う、まるで“噂通りの柚槻陽”みたいだ。
さすがにこの状況で無視し続けるほどの勇気はなく、恐る恐る顔を後ろへ向けると柚槻はすぐにへらっと表情を変えて、にやにやしながら隣に並んだ。
「デート行こ」
「っだから、なんでそんなデート行きたいわけ.......」
「えー?だって琳ちゃんおもしれぇし」
「はぁ?意味わかんないこと言うなよ」
ほんっとこいつ頑固.......しかもマイペースすぎる。
人が必死に説得させようと色んな言葉を言い放っている間も、「今日暑くね」だの「アイス食お」だのほざいて全く聞いてないし聞く素振りも見せない。
こいつが言い始めたことなのに。
「.......そいえばさぁ、琳ちゃんその話し方直んねーの?」
「あ?.......何が」
「それ、男っぽい喋り方すんの」
「.......ずっとこれで過ごしてるから、むしろこっちの方が普通になって.......ていうか、どうせこれからも男の子の姿でいるんだから別に直らなくてもいい、し.......」
実際、約2年間この状態でいるせいで特に疑問を持つことは無かった。
今言われてやっと気づいたくらいに。
もちろん言っている通りこのまま男装し続けるつもりだし、女の子だった私が消えてもいいって思ってる。
.......だけど、なんとなくだけど、「ほんとにそれでいいのか」なんて、そんないらない考えが私の邪魔をして、話す言葉に詰まった。
「.......ふーん、まぁいいや。で、デートは?」
「お前.......ほんとに友達いんのか?俺だったら絶対嫌いになるぞ、お前みたいな人の話聞かねぇやつ」
「ひでー言い方だなー、じゃあ.......俺がなんか奢るから、学校帰りにちょっとだけ。だめ?」
相変わらず表情を変えないまま「お願い、ほんとちょっとでいいから」と言い続ける柚槻