空を跳ぶ足
またしても、くーの散歩に行かされてる。


いや、ヒマなんだけど。


なんか納得できない。かといって、どうしてもやりたいことがあるわけでもない。


くーの行きたいほうへとリードで引っ張られながら歩いていると、きょろきょろと辺りを見回す女性がいた。


「どちらかお探しですか?」


ぱっと目があった彼女は、胸までのつやつやの髪を綺麗に巻いて、ぱっちりした目元の可愛い人だった。


「看板とかは出していなくて、個人の家なんですが……」


スマホの画面にある名前は北崎快。あのコミュ障のイケメンだった。

まともに女性と話すのも大変だのなんだの言っておきながら、こんな可愛い彼女がいるのだとしたら、許せない。

それとも人の気をひくためのフリだとか、イケメンだってことを隠すための偽装だとか!

なんだか腹がたってきた。


「最近、越してきた人ですね。良かったら案内します」
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