空を跳ぶ足
斉藤さんちは確かおばさんと息子さんの2人暮らしで……その息子さんてもう40超えてたような……

ぶるっと身震いが走る。

とんでもなーーーい。

こんな所で近所のヨメ来ない男に嫁がされそうになるなんてーーー


「あっ、ワタシ用事を思い出したので、これで……」

「まあっ史織ちゃん、あれっ!!」

今度はぐいっと肩をつかまれ向きを変えさせられる。

「あの人どう見える?最近、引っ越して来たんだけど、なんだか怪しい人じゃない?」

長めの黒髪に、着古したシャツにジーンズ。どちらかといえば、がっしりした体格で30才くらいに見える男性だ。

すれ違いざまに、ぺこりとお辞儀をしてくれたので、悪い人ではなさそうだけど、愛想はない。

「ほら~なんか無愛想でしょ。こないだ回覧板持ってった持田さんがね、あそこの家手足がゴロゴロ転がってたって言うのよ。あれじゃない、人間不信でマネキンの愛好家とかなんじゃ」
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