「好き」とは絶対言いません!
「もし、また何か異変があったら相談してよ。こう見えて警察官だし」

麦はそう笑うも、「あんなに相談するとか絶対嫌」と花枝は思ったことをオブラートに包むことなく言う。ずっと弟のように見てきた人間に頼ることをプライドが許さないのだ。

「まあ、俺じゃなくてもいいから誰かに相談してね。じゃあドラマ見ようよ!」

俺、ポテチ食べたいと言いながら笑う麦はやはり「頼りがいのある男性」には見えない。花枝は「こいつに相談なんて一生ないわ」と思いながら、麦の隣に座ってドラマを再生した。

だが、少しの変化は多くのことを気付かせる。ティーカップがなくなってから、花枝の身の回りで少しずつ不可解なことが起こり始めたのだ。

道を歩いていると、いつも誰かの視線を感じてしまう。振り向いても誰もおらず、ただ視線だけを感じるのだ。そして、家から物が無くなったり、ポストに花枝の盗撮写真が送り付けられるようなっていく。

「何なの、これ……」
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