「好き」とは絶対言いません！
テレビのニュースで取り上げられるようなストーカーの行動に、花枝は毎日鳥肌が立ち、恐怖と不安が心に常にある日々が続いていく。

放っておけば収まる、そう最初は思っていたのだが、ストーカーの行動は日に日にエスカレートしていき、花枝が一日中何をしていたのか書かれた紙までポストに入れられるようになり、花枝はかなり参っていた。

「……もう嫌、何なの……」

麦の顔が浮かんだものの、あいつに頼るのは嫌だと心の一部が主張し、それに従ってしまう。そのため、ストーカー行為はエスカレートしていく一方なのだ。

「あいつ、何で最近家に来ないのよ。前は非番のたびに来てたくせに……。来いよ、馬鹿」

ここ数週間、花枝は麦の姿を見ていない。警察官の仕事が忙しいのか、ベルを鳴らしてやって来ることはない。それが花枝の中で腹ただしかった。

「麦、来てよ……」

花枝がどれだけ呟いても、麦がベルを鳴らして家に来てくれることはなく、花枝は今日もストーカーのことで悩んで寝られなかった顔をメイクで誤魔化し、出勤する。接客をしている間は、少しでもストーカーを忘れられるのだ。
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