最初で最後の恋をおしえて
「ごめん。抑えられなかった」
首を横に振り、布団を顔まで上げる。
「シャワーを浴びよう。それから昼飯だ」
切り替えの早い羽澄に安堵して、彼のあとに紬希もシャワーを借りる。
まず脱衣所で赤面した。体の至るところにキスマークがついている。
以前、友人と話していたときに、聞き返してからかわれた経験がある。キスマークは口紅でつくわけではないと。しかもつける男性は独占欲が強いらしい。
「前はなかったのに」
思い返しそうになって、また赤面する。前回は必死だったせいもあり、記憶がおぼろげだった。けれど今回は鮮明に蘇りそうで、回想を慌てて取り消した。
首元にはキラリと光るネックレス。つけたまま寝てしまったんだと気づき、鏡に映るネックレスをマジマジと見つめる。
上品な輝き。なにより彼の想いがうれしかった。
それなのに勘違いしていたとはいえ、無下に断った自分を恥じる。
「ちゃんと謝らなきゃ」
心に誓い、ネックレスを丁寧に外してから、浴室でシャワーを浴びた。