最初で最後の恋をおしえて
ランチ女子会の開催場所は広めの会議室。申し込んだ人の弁当が入り口に並べてあり、受け取り中に入る仕組みらしい。
手渡されたのは女子会に似合うかわいいランチボックスで、それだけで気分が上がる。
けれどそれも一瞬。会議室に入ると、紬希に気づいた人たちがざわざわし始めた。
ああ、やっぱり場違いだったかもしれない。後悔先に立たずだ。おいしくランチが食べられる自信がなくなってしまった。
「さあ、ランチ女子会始めますよ」
司会者の声かけで、話していた人たちも静かになった。
紬希は司会者の人物を見つめ、驚いてしまった。ほかでもない野々山だったからだ。
野々山はニッコリと紬希に笑みを向けてから、とんでもないことを口にした。
「さあ、今日は珍しい人が来ているから、みんな質問したくてウズウズしているんじゃない?」
みんなの視線を一心に受け、紬希は机の上のランチボックスを見つめるしか出来ない。
「はい!」
発言は挙手方式なのか、元気のいい声が聞こえた。
「はい。川内さん、どうぞ」
「如月さんって、如月ハウスの社長の娘さんって噂、本当ですか?」
直球の質問に、たじろいで「はい」と小さな声で返事をする。周りからは「わあ」と歓声が聞こえた。