最初で最後の恋をおしえて

 触れ方は控えめで優しくて、恥ずかしいのに、もどかしくて「やめないで」と縋りついた。

「かわいい。もっと声を聞かせて」

「やっ」

 翻弄され、知らない感覚に堕ちていく。

 何度も何度も焦らされ、自ら懇願する。

「もうお願い」

 涙目で訴えているのに、もどかしい刺激ばかり与えられ、羽澄にしがみつく。

 すると体の奥がカッと熱くなり、体をこわばらせた。

「大丈夫。力を抜いて」

 熱かったのは一瞬で、再びもどかしい刺激を送り込まれ、体が疼く。

「お願い」

 体をすり寄せると、体の奥が再び熱くなる。痛みよりも、じっとしていられない感覚が上回り、勝手に腰が振れる。

「ヤダ。怖い」

 過ぎる刺激に涙がこぼれる。落ちていく涙にキスをする羽澄を見つめた。気づけばずっと目をつぶっていた。

 切なく歪む羽澄の表情が視界に映り、胸が苦しい。

「紬希」

 掠れた声を聞いたのを最後に、意識を手放した。
< 71 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop