最初で最後の恋をおしえて
とにかく羽澄の質問に答える。
「小学生の恋を、ですか? でも、羽澄さん小学生の真似をして『好き』って言えるくらいの強者じゃないですか」
考えていたままを伝えると、羽澄は急に咳き込んだ。
「大丈夫ですか?」
「ああ、まあ」
目を潤ませる羽澄に微笑んだ。
「今日は羽澄さんの方が泣き顔ですね」
「ああ、泣きたいよ。本当に」
髪をかきあげる羽澄の横顔を見つめ、「その仕草、かっこいいですよね」とつぶやく。
動きを止めた羽澄が目を丸くして、こちらを見た。
「なんで」
「なんでって、前から思っていました。美しい顔立ちの方は、そういう仕草が似合うなあって」
「ああ、一般論」
一般論でもあるのかな。かっこいいと思ったのは、本当だけれど。