最初で最後の恋をおしえて
「きみの親御さんも一緒に住む件については、歓迎してくれている。あとはきみ次第だ」
父は論外にしても、母に相談したところで、「まあ、素敵ね」と言いかねない。この状況で正してくれる人……。
すぐにある人物が思い浮かび、羽澄を見据えて言った。
「葵衣に相談させてください」
「相談してどうするの。決めるのは自分だ」
こういうところで正論を言うなんて、憎らしい。彼に婚約者は一緒に住むものだと言われたら、それが一般的なのか紬希には判断できない。
「わかってます。でも頭も整理したいので」
羽澄は渋々といった表情で「わかった。俺はここにいるから電話しておいで」と言った。