もう、キスだけじゃ足んない。
***
「ごめんな、待っててもらって」
「ううん、大丈夫だよ、ぜんぜん」
放課後。
教室には胡桃と俺のふたりだけ。
「なんか、変な感じ……。
同じ教室で、遥が日直してて、私が待ってるの、中学以来だから」
『またあの頃に戻れたみたいで、うれしい……』
日誌を書く俺の正面に座って、クスクス笑う胡桃。
かわいい……俺もだよ。
あの頃はまだ付き合ってなかったから、今こうして付き合えていることがほんと、夢見てるみたいに幸せで。
「中学のときのもさ、最後に今日の感想みたいなの書く欄あったよね。遥、いっつも適当に書いてた」
「あー……そうだったかも」
みんな真面目に書いてたのに、俺はいつも天気がよかったとか、眠かったとか、行がいくつもある中で、1行しか書かなかった。
「胡桃と早く帰りたくて」
「えっ!?」
「休み時間はぜったいに胡桃と勉強したり、話したかったし、そう思って授業中に書いてたら担任に没収されたんだよな」
「そう、だったの……?」
「うん。あのときから、俺の生活の中心はぜんぶ胡桃で回ってた。とにかく一秒でも長く、いっしょにいたくて」
まあ、隙あらば話しかけようとする男どもへの牽制もあったけど。
「……」
無言。顔、真っ赤になってる……。
「し、知らなかった……」
「まあ、言わなかったし」
頬杖をついたまま、その真っ赤な頬をそっとなでれば、びくりと震えるその反応さえも愛おしい。
あの頃は、まだまだ思春期で、今ほどの余裕なくて。
とにかく胡桃にかっこいいとこ見せたいって、意識してほしいって思ってたし。
「そういえば、胡桃の話で思い出したんだけど、」
前にもこうやって、俺が日直で残ってて、胡桃が正面に座って俺のこと、待っててくれたことがあって。
「あのとき俺、無意識にさ、」
「うん……」
「今日の一言のところに、かわいいって、書いてたんだよな」
「はっ!?」
『そ、それって……』
「もちろん、胡桃のことだよ」
「ええっ!?」
『な、なに書いてるの!?』
今度はガタッと勢いよく立ち上がった胡桃がかわいすぎて、思わず笑みがこぼれる。
「ごめんな、待っててもらって」
「ううん、大丈夫だよ、ぜんぜん」
放課後。
教室には胡桃と俺のふたりだけ。
「なんか、変な感じ……。
同じ教室で、遥が日直してて、私が待ってるの、中学以来だから」
『またあの頃に戻れたみたいで、うれしい……』
日誌を書く俺の正面に座って、クスクス笑う胡桃。
かわいい……俺もだよ。
あの頃はまだ付き合ってなかったから、今こうして付き合えていることがほんと、夢見てるみたいに幸せで。
「中学のときのもさ、最後に今日の感想みたいなの書く欄あったよね。遥、いっつも適当に書いてた」
「あー……そうだったかも」
みんな真面目に書いてたのに、俺はいつも天気がよかったとか、眠かったとか、行がいくつもある中で、1行しか書かなかった。
「胡桃と早く帰りたくて」
「えっ!?」
「休み時間はぜったいに胡桃と勉強したり、話したかったし、そう思って授業中に書いてたら担任に没収されたんだよな」
「そう、だったの……?」
「うん。あのときから、俺の生活の中心はぜんぶ胡桃で回ってた。とにかく一秒でも長く、いっしょにいたくて」
まあ、隙あらば話しかけようとする男どもへの牽制もあったけど。
「……」
無言。顔、真っ赤になってる……。
「し、知らなかった……」
「まあ、言わなかったし」
頬杖をついたまま、その真っ赤な頬をそっとなでれば、びくりと震えるその反応さえも愛おしい。
あの頃は、まだまだ思春期で、今ほどの余裕なくて。
とにかく胡桃にかっこいいとこ見せたいって、意識してほしいって思ってたし。
「そういえば、胡桃の話で思い出したんだけど、」
前にもこうやって、俺が日直で残ってて、胡桃が正面に座って俺のこと、待っててくれたことがあって。
「あのとき俺、無意識にさ、」
「うん……」
「今日の一言のところに、かわいいって、書いてたんだよな」
「はっ!?」
『そ、それって……』
「もちろん、胡桃のことだよ」
「ええっ!?」
『な、なに書いてるの!?』
今度はガタッと勢いよく立ち上がった胡桃がかわいすぎて、思わず笑みがこぼれる。