もう、キスだけじゃ足んない。


「どんな独占欲!?」

「だって胡桃ますますモテモテになっちゃったし、俺にとってこの学校の男全員敵だし」


「ええ!?」


「そんな驚く?けどまじでそうだから。
な、だめ……?」


「うっ……」


するりと首に手を回されて、熱っぽい瞳と交わる。


「離れてても、俺でいっぱいになっとけば寂しくないじゃん。そばにいられなくても、ずっといっしょって感じで」

「で、も……っ」

「胡桃……」

「っ……」


ぎゅっと抱きしめられて、遥の顔がスリっと頭に寄せられる。


「な……抱きしめ返してくれねーの?」

「うっ……!」


その顔は、ずるい。

今ギュンってきた。

胸がぎゅううんってなったんだけど!?


「ん、ありがと。
めちゃくちゃうれしい」


おずおず背中に腕を回せば、もっとぎゅうっと抱きしめられて。


「もっと胡桃も力入れて。
ぎゅっとして」


はぁ……かわいい。


弾む声に、ますます胸がきゅうううんとなる。

遥、かっこいいんだか、かわいいんだか、どっちかにしてよ!


「やっぱ男だし、そこはかっこいいが、いいかな」

「っ、だからいちいち言わないでいい……っ」


「な、胡桃」

「な、に……」

「キスしたい」

「こ、ここで……?」

「ここで」

「今?」

「今」

「ここ教室だよ……?」

「さっきもしたじゃん」

「うっ、でも、あれは……と、とにかく家帰ってから……」

「やだ。今すぐしたい。
家帰るまで、我慢できない」


っ……もう、だめ。

その目にとんでもないくらいの熱が垣間見えて、もう見てられない。

「顔あげて」


「っ……」


「俺とキスするときの約束。覚えてる?」

「や、約束……」

「キスするときは?どうするんだっけ?」


「っ……首に手、回すのと、」

「うん」

「あーん、て、する……?」


「うん、して?」

「っ、はる……っ、」


いじわるにほほ笑むその表情。

すりっと太ももをなでられて、膝を割って入られる。
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