もう、キスだけじゃ足んない。
ムッとする私にふたりはため息をつくばかり。
だからちがうのに……!
「あ、そういえば胡桃。杏とあたし、来週の月曜にはそっち戻れそうだよ」
「えっ、そうなんだ?」
「うん。
ドラマの撮影が意外とすんなりいっちゃってね」
てことは……遥との同居生活も、日曜で終わり。
元々桃華たちがドラマでいない1ヶ月限定の同居生活。
桃華が帰ってくるのはうれしいけど、遥との生活がなくなると思ったらちょっと寂しいかも……。
ごはん作って待ってることも、おかえりも言ってあげられなくなる。
まあ、隣の部屋だからできなくはないけど、所詮はお隣さん。
一緒の部屋とはわけがちがう。
「んー、けどあたし、このままあの部屋でふたりで住んだらいいと思うんだよね」
「はっ!?」
「だってさー、せっかく付き合ってるんだし。遥もそうしたいっていうか、そうとしか思ってなさそうだし」
「えっ、でも……」
私たちはうれしいけど、桃華は、杏とふたりになるけど、いいのかな……。
だって桃華は……。
「お母さんたちにはあたしから言っとくし。
反対どころか、むしろめちゃくちゃ喜ぶと思うよ?」
「え、なんで?」
首をかしげるあーちゃん。
「なんせうちの親、弓削兄弟のこと昔から自分の子供みたいに可愛がってたし」
「そうなんだ……ってことは、ならチャンスじゃない!?」
「えっ、なにが?」
とたんにまた目を輝かせるあーちゃん。
さっきからふたりの情緒がわかんない……。