もう、キスだけじゃ足んない。
「胡桃がこれを機に、もっと積極的になるチャンス!!」
「せっ、積極的になる……?」
「そうだね!胡桃のほうから、これからも一緒に住みたいって言ってみたら?」
「えっ!」
「遥くん、喜ぶと思うけどなぁ」
「泣いて喜ぶのまちがいじゃない?」
「うわ、言えてる」
そ、そうなのかな……。
「それに!心の声で言うなら、少しははずかしさも還元されるだろうしね!」
「たしかにね!
口で言いにくいことも、心の声でならいろいろ言えちゃうかもね!」
きゃー!なんてはしゃぐふたり。
い、いろいろって……?
あーちゃんも桃華もなに考えてるの!?
「ちなみにだけど、遥は今日、仕事なの?」
「あ、うん」
今日一日お仕事で、学校には来ていない。
朝早く出ていったみたいで、前に文化祭前でバタバタしていたとき。
ふたりでやりとりしていたホワイトボードに、メッセージが書かれてた。
『おはよ。
声聞きたかったけど、あまりにかわいい顔で寝てたから起こさなかった。だからその分、帰ってきたらいっぱい声聞きたいし、イチャイチャしたい』
『今日終わったら明日明後日オフだから。
ふたりで過ごそう。行ってきます』
同居をはじめた日みたいに、シングルベッドにふたりくっついて寝た昨日。
2週間以上離れてたから、他にも話したいこと、たくさんあったのに。
疲れてうとうとしていた私をぎゅっと抱きしめて、「おやすみ」って言って頭をなでてくれて。
疲れが吹き飛ぶくらい、ぐっすり眠れたのは、きっとずっと抱きしめてくれていたから。
「遥……」
朝も忙しい中で、わざわざ書いてくれたホワイトボードのメッセージ。
めちゃくちゃうれしかったし、心があったかくなったけれど、朝起きたときに隣にぬくもりがないことがちょっぴり寂しくて。
私も遥の声、早く聞きたいよ。
顔見たいよ。
そう思ってしまった。