もう、キスだけじゃ足んない。


「うんうん。早く遥くんに会いたいよねー」

「っ、え!」


「ふふっ、胡桃、あまりに寂しそうな顔してるから」

「っ……」


もう遥くんにベタ惚れだね、なんて。

クスクス笑うあーちゃんに、ぶわっと顔が熱くなる。


ほんと、なんでもお見通しだ。


「恋する乙女って感じでかわいいよね、胡桃。あっ、そうだ!」


ピンッと人差し指を立てて、ふふふって笑う桃華。


「胡桃、まだアレ残してある?」

「え、アレって……?」


「文化祭で使ったアレよ、ア・レ!
miwaがみんなにあげるって言ってたやつ!」

「あっ、うん?」


miwaちゃんの話でピンときた。

そういえば遥、昨日……。


「あすみ。放課後うち集合!」

「なーるほど。りょーかい、桃華!」


「えっ、なにするの……!?」


桃華、なにも言ってないのに、よくわかったねあーちゃん!?

キラーンと笑うふたりについていけない。


「もう一回。
お姫さまになろうか、胡桃」


「女の子が勇気出せる魔法。
あたしたちで、かけてあげる!」


それで疲れて帰ってくる遥くんのこと、喜ばせてあげようよ!
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