もう、キスだけじゃ足んない。
俺が満足するまで、したい。
キスの嵐
それから後夜祭も終わって、無事にマンションへと帰ってきた私たちは。
「なにか心の中で言ってみて」
「りょーかい」
リビングのソファーで、私の力が本当になくなったのかを確かめようとしていた。
隣に座った遥の心の声。
『……』
いくら声に集中しても。
『……』
「な、胡……」
「静かにして」
『……』
いくら周りを静かにしても。
「……わざと黙ってるとかじゃないよね」
「だとしたら、俺最低すぎない?」
「冗談だよ」
ほんっとになにも聞こえない……!!
ほんの数時間前まで聞こえてたのが嘘のように、全くなにも聞こえてこない。
心の声というのは、耳じゃなくて脳に直接語りかけられてるような感じだから、
いくら耳を塞ごうとも、頭に直接だからどうしたって聞こえてしまう。
対象人物の心の声が聞こえるのは、その人が自分の1メートル以内にいるときだけ。
私の場合は中3の時から今まで、遥限定だったんだけど……。
「ちなみに今、心の中でなんて言ってる?」