もう、キスだけじゃ足んない。
「遥……」
ライトアップされた空間の中で、まるでこの世界には私たちふたりだけかのように、強く抱きしめ合って。
「ぜんぶほしい」
「うん……」
「ずっと思ってた……胡桃を好きになったときからずっと」
交わる瞳はゆらゆらと揺れて。
一瞬フッと目を閉じた遥は、緊張の糸がとけたように、ふわっと笑った。
「せっかくこんな格好してるし、雰囲気も……」
「え……?」
それってどういう……。
「お嬢様」
「っ!」
驚く私に、遥は私の手をとると、スっと跪いて。
「私に、お嬢様のすべてをくださいますか」
「っ……」
そっと指輪にキスが落とされて、射抜かれちゃうんじゃないかってくらい、真剣な顔で見つめられたら。
「お嬢様……胡桃」
「はい……っ」
もう自然と口が動いて、強くうなずいた瞬間。
「胡桃……っ!」
「きゃっ……!?」
グッともう一度強く抱きしめられて、コツンとおでこがぶつかる。
「もう、我慢できない」
「あっ、ちょっ、遥……!?」
「このまま部屋行く」
い、今から行くの!?
このまま!?
「当然。もうずーっと我慢してたから」
「っ!!」