もう、キスだけじゃ足んない。


「ほんとにごめんよ、遥。頼むからそんな人殺ししそうな目で俺を見ないで……」


「あ゛?そんな顔させてるのはどっちだよ。見てわかんねーの?死ぬほど大事なところだったんだけど」


遥ーーーッ!


「あは、」

「ははは……っ、」


イラつきがとまらない遥にふたりは引き攣り笑い。

早くふたりになりたいって気持ちはうれしいけど、怖いっ、怖すぎる……!

ちょっと落ちつこう!?


「それで、用件は」

「えっと、」


いつもテンションが高い河内さんまで言葉に詰まってる!

これじゃ、話が進まない……!

どうしよう、どうしたら……あっ!


「は、遥……」

「うん?どうしたの、胡桃」

べ、別人……。


「俺たちへの態度と違いすぎるだろ……」


その通りです、清見さん……。

清見さんの愕然とした声をまたもや華麗にスルーし、やわらかい眼差しを向けてくる。

『あ、えっと……清見さんたちがいるから、心の声で言うね?』


「……」


心の声でそう言ったせいか、遥はうなずきもしないし、何も言わない。

けれどその瞳は、どうしたの?気になる。

そう言わんばかりで、私ははずかしさもすべて捨てて、心の声を上げる。


『その……遥のこと、早くほしい、から……今はふたりの話、聞こう?』


遥の服をちょいちょいっと引っ張って、ぼんっと顔が赤くなるのもこらえてがんばった。

一応この状況をなんとかするためでもあるけど、紛れもなく、私の本心だから。
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