もう、キスだけじゃ足んない。


「……うん」


「きゃー!聞いた桃華!?
胡桃顔真っ赤!かーわーいーいーー!」


ぎゃあああって雄叫びをあげて、足をバタバタさせるあーちゃん。

ああっ、もう!

前に同じ話したよね、あーちゃん!

死ぬほどはずかしいからほんとにやめて……!


「でもあたしからしてみれば、ちょーっと、複雑かも。大事な妹、遥にあげるだなんて」


「えー?でもそれを言うなら桃華も!」


「ん?」


「最近ますますかわいくなったんじゃない?
杏くんと、なにかあった?」

「あ、私もそれ思ってた。桃華、なんか変わった?」


髪とかメイクとか、そういう外見的な話じゃなくて、雰囲気?

前は元気いっぱい、女の子!って感じだったのに、今はなんか……色気?大人っぽい女性って感じ……。


「○×※□◇#△!」


「え?」

「えっ!?」


カラン。

桃華の手からすべり落ちたフォークが、テーブルの下に転がる。


「どうしたの?
とにかく、新しいのと取り替えて……桃華?」

「桃華!?大丈夫!?」


ぷしゅーと湯気が出ちゃいそうなくらい首まで真っ赤……いや、腕も足まで真っ赤にして。


「あっ、ごごごごご、ごごめん、あすみ!
今新しいスプーンもらうから!」

「落としたのフォークだけど……」


いつもの桃華らしくない。

視線を右に左に、明らか動揺してますって言わんばかり。


「なにその反応……まさか!?」


あーちゃんがバッと勢いよく私のほうを向いた。

まさかって……そのまさか!?


「桃華、もしかして……杏くんと?」

「……うん」


「きゃああああああーーーーーッ!!」

!?
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