もう、キスだけじゃ足んない。


「はる、か……、んんっ!」


ドサッと体を反転させて、その細い体を組み敷いて。

苦しそうに上げる声や熱い吐息さえも飲み込むように、深く深く唇を重ねる。


「はる……っ、あ、」

「は……」


ぎゅうっとシーツを握るその手を開いて、指を絡ませて。

「こっち、掴んで」


怖がらせないように、俺はここにいると言い聞かせるように、残りの理性をかき集めて、両手を優しく握る。


「っ、ぅ……あ、」


額、まぶた、頬、こめかみ。

耳、首、鎖骨へと唇を落としながら痕をつけて。


「ん……ぅ」


跳ねる体をなだめるように、そっと腰をなでて。


「胡桃、いい?」

「ん……」

「この間の続き、してもいい……?」


震えるまぶたにキスをして、ぎゅうっと体を包む。

ドキンドキンドキン。

熱い体。胡桃の鼓動が俺にまで伝わってきて、このぬくもりをまだ感じていたいと、そっと目を閉じる。


「……」

「胡桃……?」


何も返事がないことに、もしかして体調が……そう思って、ふっと顔を上げようとしたとき。


ぎゅうっ。

「胡……」


グッと首に手を回されて引き寄せられた。


「離れたく、ない……っ」

「っ……」

「たす、けて……」

「っ!!」

「いかないで……そばに、いて……っ」


耳をすませないと聞こえないほどか細く、震えた声。


「胡……」

「すー……」


顔を上げれば、俺を抱きしめたまま、寝息を立てている胡桃。

その頬は、しっとり涙に濡れていて、目は固く閉じられている。
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