もう、キスだけじゃ足んない。
シーンと静まり返った部屋の中で、自分のものとは思えないほどの、甘い声が響く。
「んんっ……や、」
「声我慢しないで。
もっと聞かせて」
咄嗟に口を押さえた手は、すぐに絡めとられて、シーツに押しつけられる。
「……かわいい。
もっともっと、気持ちよくなろうな」
「っ、ぅ……は、」
下へ下へと落ちていく唇。ふれる熱い指先。
「大丈夫?痛くない?苦しくない?」
「ん、へい、き……っ」
「ん、よかった……続けるよ」
「ぅ……あ、」
一つ一つ、ゆっくりゆっくり暴かれていく。
溶ける。溺れる。
何度も体が跳ねて、甘い声が抑えられない。
「ふ……ぁ、ぅ、」
はずかしさと、気持ちよさと。
愛おしい、溢れる好きに、ぽろりと涙がこぼれる。
「ん、気持ちいいな。
一回休憩。キスしよっか」
「ん……っ、は」
落ちた涙を伝って、なだめるようにまぶたに口づけられて。
大丈夫だよ、好きだよって。
ふわふわ頭をなでられながら、何度もふれるだけのキスが落ちてくる。
「っ……ぅ、あ」
「っ……ごめん、痛い、よな、」
「ぅ……ちが、ちがく、て、」
痛みよりも、苦しさよりも。
「す、き……」
「っ!!」
「好きなの、はる、か……っ」
ずっとほしかった、甘すぎる熱。
やっと、やっとだって思ったら、お腹の奥が疼いて、たまらなくて。
「……っ、やぁ……っ」
「はぁ……ごめん、もっと、」
───胡桃のこと、感じてたい。
何度も何度も名前を呼ばれる。
押し寄せる熱と快楽に、放り出されて、落ちていく。
「ぎゅっと、して、」
「っ……」
シーツの上で絡められた両手はすぐに解かれて。
「っ、は……くる、み……っ」
揺れる視界の中で、じんわりかいた汗とオレンジの香りに強く抱きすくめられた。
「好き、好きだよ……っ」
「かわいい、すっげえかわいい、」
もっと、もっとって、求められて。
何度も何度も、言葉で、全身で、愛を伝えられて。
「───……愛してる」
最後に聞こえたのは、最大級の愛の言葉だった。