もう、キスだけじゃ足んない。
***


胡桃。


「遥っ!!……ぅ、いった……っ」


遥に呼ばれた気がして、ハッと目を開けて起き上がれば、ビキッと腰に響く痛み。


え……夢!?夢じゃないよね!?

夜明け近く、遥が来てくれたこと、遥にふれてもらえたこと。

慌てて自分の体を確認すれば、寝た時とまったく同じ格好。

だけど。


【体平気?優しくするって言ったのに、手加減できなくてごめんな】


うわああああ!

真っ赤になっているであろう顔をぼふんっと枕に押しつけた。


スマホに届いていた一通のメッセージ。

私、本当に遥と……あまりに情熱的に求められて、最後のほうは私も意識を飛ばすくらいいっぱいいっぱいで。


『────……愛してる』


意識がなくなる直前、耳元で囁かれた言葉はちゃんと覚えてる。

でも遥、すっごく優しくしてくれたし、私も途中から泣いちゃうくらい気持ちよ……ああああ!


【ライブ、がんばってくる。
生配信、絶対見て】


っ!そうだ!ライブ!

慌てて配信のページへと飛べば、なんと始まる1分前。


ていうかもうお昼……どんだけ寝てたの、私……。

とりあえず始まるまでになんとか着替えよう……。


痛む腰を擦りながら着替えを終わらせ、髪も直して、もう一度ベッドに腰かけた。


遥たちのライブ、いよいよだ……。
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